ANIMAL RESCUE CAMBODIA
Founder Martina Mayrさん
– まずはじめに、活動内容について教えて下さい。
私たちは、社会福祉活動、獣医学教育、そして動物の去勢という3つの活動を主に行っています。
社会福祉活動の一例として、パゴダ寺院での活動があります。大抵のパゴダには、50匹から100匹の犬や猫等の動物がいます。私たちはそこで、地元の人々に対して動物飼育の手助けを行っています。主に、どのように餌を与えるか、投薬をするか、そしてどのように点眼をするか等、基本的な動物飼育における指導をします。それにより、当センターでの治療が必要なほどの重病でない限りは、彼らが自分たちで動物の面倒を見られるようになります。私たちは薬などの医療品を無料で提供しているため、それらを用いて自分たちで治療ができるようになります。
また、獣医学教育も行っています。カンボジアでの獣医学はまだまだ国際的な基準には届いていません。また、それらは主に家畜動物のためのものであり、犬や猫などの獣医学はあまり学ばれません。当センターには2人の獣医学の研修医がおり、彼らはここで技術と知識の豊かな獣医になるためのフルタイムの研修を受けています。
3つ目の活動は、動物の去勢に関するものです。私たちは、カンボジアにおける過度な野良動物の数を削減するため、それらの動物の去勢活動を行っています。彼らには充分な食料がない他、人口過剰により病気が容易に蔓延してしまうという問題もあります。それらへの一番の解決策は、それらの動物を去勢していくことであり、それにより将来的に病気や怪我をする動物を減らすことができます。私たちは、野良動物を集め去勢していますが、またペット飼育者へ無料の去勢サービスも提供しています。
– この機関が設立されたのはいつですか。
2016年の3月です。
– この活動を行ってきた2年半の間に、どのような変化がありましたか。
たくさんのことが急速に変わってきています。まず、たくさんの僧侶の方々や地元の人々が私たちの活動に賛同し、協力してくれるようになったことです。彼らは最初、去勢手術というものの手順や必要性を理解していませんでしたが、今では週ベースで私たちと一緒に活動するパゴダが多く、今では彼らは多くの人々が、去勢手術というものがその動物達に及ぼす利益や必要性を理解してくれています。
また、2016年においては、私たちから動物を引き取ってくれた方々の大半が外国人居住者でしたが、今年に入り、当センターで救助した動物を引き取ってくれるカンボジア人の数が急増しました。彼らは今、動物福祉やそれらへの貢献に関心を持ってくれています。
– 先進国、またカンボジアのような発展途上国において、ペットの扱いにおいて違いはあると思われますか?
カンボジアにおいては動物に対する虐待が見受けられます。動物を飼うということに対する責任のあり方に対する早急な教育が必要です。
また、動物福祉に関する、犬や猫を守るための法律がありません。そのような法律は、先進国では一般的です。しかしながら、若い世代の人々は、段々とペットに対する福祉に関心を持ち始めています。今では、地元の若い人々から、彼らの動物の健康などについての問い合わせがとても多くなってきています。
また、カンボジアでペットはしばしばアクセサリーのように扱われています。例えば、富裕層の間でハスキー犬はとても人気ですが、カンボジアのような暑い国でハスキー犬を飼うことは、虐待以外の何物でもありません。悲しいことに、ハスキー犬は富のシンボルのように考えられており、それらの犬はペットショップで購入されます。富裕層しか購入することのできないないハスキー犬は、アクセサリーのような感覚で扱われ、それらの犬の健康や幸福は二の次となります。ハスキー犬は健康でいるために毎日数時間走り回ることが不可欠であり、また寒い気温下にいることも必要です。単純に、それらの犬をエアコンの効いた部屋にいれておく、というのでは残酷です。
しかしながら、先述したようにそういったことは段々と変わってきているように感じられます。特に若い世代の人々は、動物福祉というものにより関心を示しているように感じられます。
– 人々に一番伝えたいことはなんですか。
一番重要なのは、目をそらさないでください、ということです。もしあなたを必要としている動物がいたら、どうか助けてあげてください。
例えば、もし動物が車にひかれているのを見た時に、多くの人は助けようとせずに過ぎ去ってしまいます。あなたがその当事者でないとしても、その事故を見たということは、あなたにもその事故に対する責任が生まれることになります。動物達も、人間と同じように恐怖や痛みを感じます。なのでどうか、人間に対するように動物も扱ってください。動物は人間と見た目が違っても、同じように命があり、魂があるのです。