//サッカーを通じて教える夢の大切さ

サッカーを通じて教える夢の大切さ

SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL
海野 貴裕さん 蓮池 柊兵さん

– まずはソルティーロについて教えていただけますか?

 サッカースクールは2016年11月にプノンペンで2校スタートしました。僕と蓮池とカンボジア人スタッフ2名の4名で運営しています。活動自体は火、木、日で、僕ら主催のサッカースクールで、水曜と金曜はノースブリッジインターナショナルスクールの放課後活動の中にサッカーを入れてもらってそこで教えています。

 授業の一環としてSOLTILOのサッカーレッスンを取り入れてもらっています。

 プライマリーといって4歳から12歳を対象に3クラスでやっています。加えて、地方に出てサッカークリニックや「夢を持つこと」や「職業選択」について講演をさせて頂いてます。
 最近ですと、和民さんが建設された孤児院でそのような活動をしまして、今後も定期的に続けていけるよう和民さんと話し合っているところです。他にも夏休み期間中にサマーキャンプといって、学校は閉まっているんですが子供を預けて様々なアクティビティを行なっています。

– なぜカンボジアだったのでしょうか?

 本田圭佑が2015年にワールドカップ一次予選でカンボジアを訪れた事をきっかけに2016年に再度カンボジアに来てサッカー人気の凄さを目の当たりにした事でカンボジアに可能性を感じ、元々現役のうちに「サッカースクールをやりたい」「恵まれない子たちにもチャンスを与え、夢を持つ大切さを伝えたい」と考えていたのでカンボジアでスタートしました。

– それをきっかけに本田選手から依頼を受けたんですか?

 そうですね。本田圭佑もやる気だったんですが、カンボジア側からもサッカースクールをやってほしいという依頼がありましたので。その後、クラブを持たないかという話が出てきて、SOLTILO Angkor FCというクラブを持つことになり、走りながら考えろという会社なので驚きの連続です。本田圭佑らしいと言えばらしいですけどね。

– 本田選手は定期的にいらっしゃってるんですか?

 最後にカンボジアに来たのが2016年の12月なのですが、頻繁にLINEやスカイプなどでミーティングをしており、カンボジアに来たいという気持ちはあるようです。年始に「熱い男に会うのは好きやし」と言われたので、彼に熱い気持ちをぶつけているところです。

– 生徒はカンボジア人が多いんですか?

 いえ、現状は7割が日本人で3割がカンボジア人ですが、インターナショナルスクールではその比率が逆くらいですね。
 現状はレッスン料を払える子たちしか教えられていませんが、本当は「夢を持つ大切さ」を教えるというコンセプトからも、もっと多くの子たちに教えていきたいと思っています。あとはアプローチの仕方を変えて機会に恵まれない子たちにもサッカーを通して「夢を持つ大切さ」を伝えていこうと思っています。

– 実際カンボジアの子供たちと接してみてどうですか?

 カンボジアの中にも様々な層の子たちがいますが、そもそもサッカー選手になりたいという子供たちはパブリックスクールに多くて、インターナショナルスクールやサッカースクールの子たちは本気でサッカー選手になりたいと思っているかというとそうではなくて、どちらかというとサッカーが楽しいからとか、親御さんが教育としてやらせたいからというのが多いですね。

– 日本の同世代の子たちと比べてカンボジアの子たちはどうですか?

 10歳以下で見るとそんなに大差はないですが、日本のサッカーの教育は組織や戦術を小さいうちから学んでいくんですね。カンボジアの子たちはボールの扱いは上手いですが、サッカーとなると日本の子たちの方が理解が深く、それは年齢が上がるにつれて顕著に出てきます。

 それは元々の教育が影響しているんじゃないかと思います。
例えば俯瞰的に物を見れないとか先の事を考えられないというのはけっこうあって、日本の子だと「あの子がこう動いたから自分はこう動こう」「あの子がスペースを作ってくれたから次はここに動こう」とか先の事を考えられます。カンボジアの子はそこまでいかず、目の前の事を優先してしまい、考えるという作業が少ない傾向に感じています。そこは、サッカーというよりも教育全体が影響しているのかなと感じます。本田圭佑とも政治、経済、教育という深い部分が変わっていかないと難しいよねと話しています。

– SOLTILOサッカースクールのウリはなんでしょうか?

 日本人2人とカンボジア人コーチ2人で教えていますので英語、日本語、クメール語で受けられます。さらに本田圭佑と作ったレッスンプログラムが受けられる事ではないでしょうか。基本的にああしろこうしろという事はなく、常に対話ベースなんです。「今のはどうだった?」って聞いて、僕らの考える選択肢がなければ「こういうのもあるよね?」「でも選ぶのは君だよ」と強制するのではなく自分で考えさせるようにしています。サッカー以外でも一人ひとりと多く話すように心がけています。