プノンペンクラウンFC 鈴木 雄太さん
– まず鈴木さんの簡単な経歴から教えてください。
大学までずっとサッカーをやっていてプロサッカー選手になる事が夢でしたが、特にスタメンという訳ではありませんでしたので、当然Jリーガーになれるとも思っていませんでしたので、普通に就職してサラリーマンをやっていました。
でもやっぱりプロサッカー選手という夢を捨てきれずにタイのプロチームの入団テストを受けに行きました。でも結果はダメでした。それで仕方なく帰国して地元の社会人リーグに所属して働きながらサッカーを続けていたんですが、知人の伝手でチェコの4部リーグのチームのテストを受けて一旦は合格する事が出来たんですが、自分の実力不足でわずか3か月でまた日本へ帰国する事になりました。それでもまだ諦めていませんでしたので、1人でも公園でサッカーをしたりトレーニングだけは欠かさずやっていました。
その後ミャンマーのプロテストを受けましたが落とされ、さらにフィリピンにもプロテストを受けにいきましたが、それもダメでした。そしてカンボジアへたどり着き、今所属しているプノンペンクラウンFCのテストでようやく合格を勝ち取りました。
– それがいつの事ですか?
今年の3月です。27歳にしてようやくプロサッカー選手の夢を叶える事が出来たんです。運が良かったのもあるんですけどね。
– 今までよく諦めませんでしたね。
はい。一度諦めた時に感じたていた気持ちは決して忘れませんから。自分が納得するまでチャレンジし続けるつもりでした。
– しかしプロ契約したとはいえ、試合に出れるかどうかは別問題ですよね?
そうですね。でも実際は契約の翌週は途中出場でしたけど出場の機会が与えられ、そこからはずっとスタメンで起用してもらってます。
– チームメイトのほとんどはカンボジア人だと思いますが、コミュニケーション面はどうですか?
監督がウクライナ人という事もあって基本的にチーム内は英語でコミュニケーションを取っています。と言っても英語もそんなに得意な訳ではありませんが、サッカー選手としてピッチに立てばある程度考えている事は共有できますね。
– でも監督との細かい戦術の話などはそうはいきませんよね?
そうですね。ですので、監督とはボードを使ったりしながらしっかり理解できるまで話し合います。逆に自分の考えも理解してもらわなければなりませんので、そういう時は幸い英語が堪能な日本人がGMですので、GMに通訳をお願いしています。
– クラブでの待遇や環境はどうですか?
他のチームの事はそこまでよく分かりませんが、カンボジアのチームの中では一番良いと思っています。試合前には栄養コントロールされた食事が提供されますし。ホームグランドも天然芝を使った試合用のグランドと練習用のグランドと2面ありますしね。
– チームの抱えている課題と目標を教えてください。
攻撃的な選手が多い分、ディフェンスが安定せず失点してしまう事が多いので、まずはディフェンス面を強化する必要があると思います。
次にメンタル面がまだまだ弱く気持ちの浮き沈みが激しいので、やはり年間通して戦っていくためにはメンタル面をもっと強化する必要があると思います。
– カンボジアのサッカーの特徴を教えてください。
闘争心が強く1対1の場面では勝負を挑む事が多いですし、ゴールへ向かう姿勢は見習うところがあります。反面熱くなりすぎるのかラフプレーが目立つ場面もありますが。
– 今後の目標を教えてください。
まずはチームの優勝です。そしてAFCカップに出場したいです。そしていずれはもっといろんな国でプレーしてみたいと思っています。聞いた事ないと思いますが、東ヨーロッパのアイゼルバイジャンという国があって、そういう日本人の未開の地でやってみたいんですよね。
– 最後に読者にメッセージをお願いします。
まずは試合を見にきてもらいたいです。代表戦は観客動員数も多いですが、カンボジアリーグの試合はまだまだ空席が目立っていています。
プロリーグですから当然サッカーをビジネスの面でも育てていかなければなりません。経済成長に伴って観客動員数も増えればカンボジアサッカーはもっともっと成長すると思います。チケットも5000リエルと安いですし、当日いきなりスタジアムに行ってもぜんぜん入れますから皆さんぜひよろしくお願いします。
夢はいつか必ず叶うという訳ではない。
しかし諦めずに夢を追い続けたからこそ、鈴木さんは夢を掴む事が出来た。
この記事を通して夢を諦めずに追い続ける事の素晴らしさをカンボジアの若者たちに伝わる事を願う。