//異国の地での立ち振る舞い

異国の地での立ち振る舞い

 いよいよ、カンボジアにも歩道橋が掛けられる。下に通る道は車道とバイクなど軽車両が走る道とが分けられ、発展と言う利便性だけが先行していたカンボジアにも環境や安全と言った、周りに住む人々の生活も視野に入れた開発にまた1つカンボジアが一皮むけた感が有る。
 私がカンボジアに来た当時はヘルメットすら被らない人の方が多かったが、今ではヘルメットを被っていない人の方が少ないし、最近ではイオンなどでも会計でレジに横から入る人を、カンボジア人が注意をする姿も見るようになり、ただ単に見て見ぬふりや注意するのが面倒という事ではなく、こうしたルールがより早く気持ち良く買い物が出来る事をみんなが分かると、人としても優しくなり社会もギクシャクしなくて済むように思う。
 しかしその一方で本来手本となるべき我々日本人も含めた先進国の外国人が自国ではしっかりルールを守っているのにカンボジアに来た途端、信号無視をしたりノーヘルでバイクを運転したり一方通行を逆走したりとカンボジアのモラル向上の妨げている。普段カンボジア人に偉そうに講釈をたれているのであれば、こういったところから手本となるべきであり、今一度自らを省みなければならない。
 とはいえ「言うは易く行うは難し」で、ルールとは皆の共通認識と順守の上に初めて安全に機能するものであり、赤信号にも関わらず車が来ていないんだから早く行けと言わんばかりに後ろからクラクションを鳴らし、それでも動かないと無理やり追い越していくなど、中途半端な状態ではかえってルールを守ったが故に招く事故もある。決して法令順守を否定している訳ではないが難しいところである。
 振り返ると私が免許を取り立ての頃に道を譲ってもらった際にハザードランプを点滅させる事でお礼の意を伝える人がいるという事を知り、それを見たいが為によく道を譲ったものである。ここカンボジアでもこのようなマナーアップに繋がる習慣が浸透すれば日進月歩でモラルが向上していく上、多少は渋滞緩和にも繋がるのではないだろうか。
 誰か困っている人がいるとお節介なほど世話を焼くカンボジア人だからこそ、その可能性は多分にあるように思う。経済発展の裏側で殺伐とした社会になってしまった日本を反面教師とし、人から感謝される喜びを知り、どんな人に対しても優しい心の豊かな国になってほしい。
 以前にタイが好きな人が移住すると嫌いになるというブログ記事を読んだ事がある。具体的な内容については触れないが、その理由はどれもカンボジアにも当てはまるものばかりで、斯く言う私もカンボジアとの文化の差に付いて行けずに悩み、帰国を考えた事もある。でもそれはやはりどの国の人でも長い間、異国の地で生活していれば悪い面に触れる事もあれば理解しあえない場面に遭遇する事もあり、その度にグチグチ文句を言うくらいなら「自国に帰れよ」って事になるだけである。
 前述したブログでは最後にYouTubeのある動画を紹介している。動画はタイのことではあるが本質はカンボジアも同じなので、どうしようもなくカンボジアの事が嫌いになりそうな時はぜひ一度見てほしい。私はつい目に涙を浮かべ、もう少し頑張ってみようと思えた。