1月14日、国道1号線に架かるネアックルン橋の閉合式典が開催された。これにより、ベトナム・カンボジア・タイを結ぶ南部経済回廊の全行程が陸路で繋がることとなった。ネアックルン橋は日本の無償資金協力(ODA)にて建設が進められてきたもので、式典にはフン・セン首相はじめ各副首相が出席した他、日本からも中根一幸外務政務官が出席した。式典は終始和やかな雰囲気で行なわれ、中根政務官はスピーチで「同架橋の完成により南部経済回廊の交通が緩和され、連結性向上につながる」と述べた。フン・セン首相は橋について二羽の鳥が大空に羽ばたくための翼をひろげているようだと表現し、日本名を「つばさ橋」と命名した。そして、日本の資金援助から施工に至るまでの全ての協力に感謝の意を表し、その証として「つばさ橋」をデザインに加えた新たな500リエル紙幣を発表した。これまで500リエル紙幣には同じく日本のODAで建設された「きずな橋」が描かれていたが、その横に新たにつばさ橋が描き加えられ、カンボジアと日本の協力関係を象徴する紙幣となった。つばさ橋は今後、路面の舗装や照明設備の整備などの作業が進められ、4月のクメール正月前には正式に開通する見込みとなっている。
本事業は119億4000万円という莫大な資金を注入した大型案件であり、当然大きな経済効果を発揮することが求められる。南部経済回廊で唯一フェリー輸送となり分断されていた同地点がつばさ橋に置き換わることで、カンボジア国内で操業する日系企業にとっても輸送時間が明確化・短縮化され、大きな利益となることが期待できる。また、物流改善以外にも人員交流の更なる活発化など、様々な面で同国の成長を後押ししていくことになるだろう。