//成功の鍵はプノンペンにあらず

成功の鍵はプノンペンにあらず

 以前にカンボジアに進出している日系企業の9割は赤字という記事を書いた。これからの経済成長を見込み、今は耐え時だと必死に踏ん張っているのだろう。
しかしその先に本当に成功は待っているのだろうか。
先日、出張で初めてバッタンバンを訪れた。私個人としてはプノンペンよりも居心地の良さを感じた。人も車も店も多すぎず、かといって不便というほどではない。そして何よりほとんど中国を見なかった。それだけ中国人が少ないということだろう。これがどれだけ凄い事かは、プノンペンやシアヌークビルに行った事がある人であればよく分かるだろう。
 ではバッタンバンという街は中国人が見向きもしないほど、どうしようもない街なのだろうか。いや、そうではない。バッタンバンはカンボジアでは第三の都市であり、歴史的にも経済的にも魅力的な街である。
 ある政府関係者の話では、バッタンバンは本来のクメール文化が残る最後の街だそうだ。そのため、カンボジア国民も政府もバッタンバンの街も文化も大切にしてきた。
 カンボジアに進出してきた人のほとんどは成長や可能性を感じての事だろう。しかし実際にはどうだろう。日本と比べれば当然可能性をかんじるだろうが、中国というライバルは莫大な資金と迅速な決断力を持って挑んでくる。私はもう遅過ぎるくらいだと思う。
 しかしバッタンバンは違う。大きな外資系ショッピングモールも無ければ、空を覆うほどのコンドミニアムもない。何より冒頭でも触れたが強力なライバルが少ないのである。
そしてバッタンバンの人たちは決して排他的な田舎者ではないという事である。そんな人たちが大した金の使い道もなく、大型連休を利用してわざわざプノンペンを訪れているとしたらどうだろう。
 即成功を求めるのであればバッタンバンは向かないだろう。しかしその地に根を張り、長い目で見てカンボジアと共に成長しようと思えるのであればバッタンバン以上の街はないと思っている。
 もちろん業種にもよるだろうし、100%成功するとは言えない。しかし少なくともプノンペンで何の勝算もなく、損切り出来ずにいるのであれば、いっそバッタンバンに拠点を移した方が可能性は高まると思う。
 斯く言う私もバッタンバンに拠点を持っている訳でもなく、無責任なことを言っていると思われるかもしれない。確かにその通りだ。
しかしカンボジアにいる日本人や日系企業の成功を願っての事だという事は言っておきたい。そしてこの記事がそのきっかけになれば、この上ない幸せである。