//意外と知らない人が多い海外在住者が損していること

意外と知らない人が多い海外在住者が損していること

 海外に移住して先輩在住者の方々と話す機会が増えると、海外在住におけるいろいろなアドバイスをもらえる。

 そのうちの一つに「一時帰国時にはスタンプを押してもらった方がいいよ」というものがある。これは2017年に顔認識システム方式による自動化ゲートが導入された事により、これまで入国審査官が押してくれていた帰国のスタンプが希望しない限りスタンプを押されなくなった。

恐らく大半の人はスタンプを押さずにそのまま通過しているだろうが、それをわざわざスタンプを押してもらった方がお得になる可能性があるという話なので、そんな話聞いたことないという方はぜひ最後まで読んで覚えておいてほしい。長期在住者でも意外と知らない人もいたりするので、周りの知らない人に教えてあげれば海外在住上級者になること間違いなし。

 ではスタンプを押してもらうとどんなお得なことがあるかというと、ズバリ免税である。

 海外に住んでいると日本でしか手に入らない物も多く、一時帰国する際にまとめ買いをすることもあるだろう。
 そんな時に海外在住者は消費税が免税になる制度があり、今は消費税が10%なので消費税が免税になるとかなり有難いにも関わらず知らない人が意外と多い。
 ただ、消費税が免税になるとはいえ申請や手続きが煩雑だと10%くらい払った方が良いと考える人もいるだろうが、実はそんなに難しくはないので、その手順も含めて紹介する。

◯免税対象者

 まず海外在住者であれば誰でも免税になる訳ではない。観光庁のサイトによると以下の通りである。

❶外国にある事務所(日本法人の海外支店等、現地法人、駐在員事務所及び国際機関を含む)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者
❷2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者
❸[1]及び[2]に掲げる者のほか、日本出国後、外国に2年以上滞在するに至った者
❹[1]から[3]までに掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が6か月未満の者

https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/about.html

 つまり海外に2年以上滞在する予定でこれから出国するか、すでに2年以上滞在しており、一時帰国の期間が半年以内であれば免税対象者になるということだ。

 ただし、2023年4月1日以降はこの対象の範囲が変更されるので要注意。
 どのように変更されるかというと、これから2年以上滞在する予定の人は対象からはずれ、すでに2年以上滞在している実績のある人のみが対象となる。
 そしてそれを証明するために、「在留証明」もしくは「戸籍の附票の写し」のいずれかが必要になる。
 「在留証明」は滞在する国の日本大使館(在外公館)で発行してもらえ、「戸籍の附票の写し」は本籍地の市区町村で発行してもらえるので、事前に準備できる人は大使館に行けば発行してもらい、大使館に行く時間が取れなかった人は帰国後に本籍地の市区町村の役所に行けば発行してもらえる。
 ただし「在留証明」を発行してもらうには「在留届」を提出していることが必須条件ですので、もしまだ「在留届」を提出していない方は、そもそも3ヶ月以上海外に滞在する人は法律で義務付けられていますのですぐに提出しよう。
 わざわざ大使館に行かなくてもインターネットで簡単に提出できる。

オンライン在留届はこちら

◯免税対象品

 まず免税対象商品は「通常生活の用に供される物品であること」とされており、「消耗品」と「一般物品」の2種類に分類される。
 通常生活の用に供される物品とは、要するに明らかに事業用や販売目的での購入の場合は免税は認められないということである。

 さらに購入額にも制限があり、「消耗品」と「一般物品」では以下の通りとなる。

消耗品
・1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が5千円以上、50万円以下の範囲内であること。
・消費されないように指定された方法による包装がされていること。

一般物品
・1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が5千円以上。

 いくらまとめ買いをするからといって、消耗品を50万円以上買うことはないと思うが、注意しなければならないのは税抜きで5千円以上でなければならないという点である。
 なので、後から追加にならないように事前にリストアップしておいた方が良いだろう。

◯購入

 購入はどこで購入しても免税になるわけではなく、免税店で買い物をしなければならない。東京であればドン・キホーテやビックカメラなどで「TAX FREE」の張り紙を見たことがあるのではないだろうか。
 とはいえ、普段気にしてなければどこに免税店があるのか分からないという人も多いだろう。そんな時は「TAXFREESHOP.JP」というサイトが便利である。
 日本全国の免税店をまとめたサイトで、現在地から検索できたり商品カテゴリから検索できる。

 そして実際に免税店で購入する際に免税で購入したい旨を店員さんに伝えるとパスポートの提示を求められ、ここで帰国時のスタンプを確認されるのだ。そのため、買い物に行く際はパスポートを持っていくことを忘れないようにしなければならない。

 消費税が免税された額で会計を済ませると、パスポートにレシートと「輸出免税物品購入記録票」という紙をホチキス留めされてパスポートを返却される。

◯開封と持ち出し

 消耗品に関しては前述の通り、消費されないように包装されるので出国まで開封せずに海外へ持ち出さなければならないとされている。一般物品であれば、例えば洋服などは日本にいる間に開封して着てしまっても問題ない。
 さらに購入後30日以内に海外へ持ち出さなければならないため、帰国後30日以上滞在する場合は滞在期間が30日を切ってから購入しなければならないのでその点も注意が必要である。

◯出国

 最後に出国時に税関で手続きをすれば終わりだが、税関は手荷物検査などの保安検査場を通過した後にあり、基本的に免税店で購入した商品は税関の手続きに必要なため、手荷物として機内に持ち込まなければならないが、家電などの大きな物や化粧水などの液体は機内に持ち込めないため、チェックイン時にカウンターで機内に持ち込めない免税商品があることを伝えれば、預け入れることができるが、空港によって対応が変わることがあるようなので、事前に出国する空港に問い合わせた方が良いかもしれない。

◯まとめ

 以上が消費税免税で買い物ができる流れで、帰国時にスタンプを押してもらわないと損な理由である。
 スタンプを押してもらえるのは帰国時のワンチャンスのみなので、特に購入予定がなかったとしても一応スタンプを押してもらってさえいれば予定外の買い物が発生したとしても問題ないが、スタンプがなければ免税で買い物をすることはできないため、よほど急いでない限りはスタンプは押してもらうことをおすすめする。