//強制労働事件に大使館注意喚起

強制労働事件に大使館注意喚起

 今月日本でも台湾人や香港人などがカンボジアに連れて来られ、詐欺などの違法な業務を強制する事件が報じられた。

 この事件はカンボジア国内でも現地メディアが報じたことで話題になっている。
 この事件は高収入を謳ったバイト募集やマッチングアプリを通じて誘い、集めた人たちをカンボジアやミャンマーなどに連れていき、携帯電話やパスポートなどを奪った後に暴行を加え、詐欺の電話などを強要するというものである。

 これに対し台湾政府外交部は被害者救出のための専門チームを立ち上げ、カンボジア現地の警察も協力を求めながら、緊急対応していくとしている。

 一方在カンボジア日本大使館でも在留邦人に対し下記のような注意喚起をしている。

◯在カンボジア日本大使館からの注意喚起
「就労斡旋を騙り不法行為や強制労働に従事させる監禁事案に関する注意喚起」
 最近、カンボジアにて好条件の仕事があるなどとして外国で希望者を勧誘し、カンボジアに到着した直後に旅券や連絡手段を取り上げ自由な外出を制限するなど監禁状態に置いた上で、当初約束していた活動とは異なる不法行為に従事させたり本人の意思に反して労働を強いるような事案が発生しており、少数ですが邦人の被害事例も報告されています。

 様々な被害事例がありますが、概ね共通している特徴は以下のとおりです。
・居住国(日本を含む外国)にて知人や親族(外国人の場合もあれば本国(日本であれば日本人)の国籍者の場合もある)から、カンボジアで条件のいい短期(数週間から数ヶ月)の仕事があると紹介される。
・報酬が示される場合は月額数千ドル程度で、「仕事」の内容は簡単な翻訳作業や事務作業など専門性が低く負担の軽いものと説明されるが詳細な説明はほとんど無い。
・渡航費用や現地滞在費は全て雇用主負担で、査証などの事務手続きも全て雇用主が行う。
・滞在先として高級ホテルを用意したり、移動手段として高級車をあてがうと約束する場合がある。
・カンボジア到着直後に旅券やパスポートを監視役に取り上げられ、行き先も告げられないまま監視付きの施設に移される。
・本国から「案内役」が同行する場合がある
・滞在先の施設では、振り込め詐欺などに悪用されると思しき内容の文章の確認等を強要され、外出や外部との接触が制限される。

 カンボジアでは以前より国内外の犯罪組織による不法な活動が問題となっていましたが、法制度が未発達で汚職も蔓延しているともされており、当局による取り締まりが十分ではなく、こうした不法行為に巻き込まれた場合には解決が容易でないこともあります。

 つきましては、特に知人等からの紹介を受けてカンボジアでの就労を検討・予定されている場合は、上記のような情勢を理解し、安易に勧誘に同意することなく、勤務先が信用に足りるものか、安全が確保されているものか等につきご自身でよく確認し、確認できない場合は渡航を取りやめることも視野に入れて慎重に判断して下さい(大使館では個々の就労先や就労事案の安全性や信憑性について判断できません。)。

 新型コロナウイルスの影響でまだまだ経済的に苦しい人もいるだろうが、慎重に考え判断していただきたい。専門性もなく誰でも稼げる高収入な仕事などありはしないのだから。