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AFF U22 LG CUP 2019 カンボジア代表、将来に繋がる確かな結果を残す

決勝トーナメント進出を果たし4位で大会を終えたカンボジア代表

 東南アジアサッカー協会(AFF)主催のU22世代の国際大会がプノンペンのオリンピックスタジ アムで2月17日から26日の日程で開催された。カンボジア代表は予選リーグを一位で通過、準決 勝でタイ代表に、3位決定戦でもベトナム代表に敗れ4位で大会を終えたが、連日見応えある試合 を見せた。優勝はインドネシア代表だった。

新時代の幕開けを告げるに相応しい堂々たる戦い

 今回の大会にはAFF加盟国のうちオーストラリア、シンガポール、ラオスを除く8カ国が参加し た。カンボジアは成績を残す上で大きな鍵となる予選リーグでインドネシア、ミャンマー、マレー シアと同組となった。東南アジアの強豪タイそしてベトナムが別組に入ったことはカンボジアにとっ て幸運のように思えたが、大会前の会見で顔を揃えた各国の監督は大会に参加する8カ国の戦力が 拮抗していると語り、どの国が優勝してもおかしくないと口を揃えた。そんな中始まった予選リー グからカンボジアは大いに躍動した。初戦のマレーシアを1-0で下すと、続く二戦目のミャンマー にも2-0と圧勝、この時点で予選リーグ通過を決めた。三戦目のインドネシアには決勝トーナメン トを見据えてメンバーを入れ替えて臨み0-2と敗れたが、予選リーグは一位通過となった。 そして迎えた決勝トーナメントでもカンボジア代表は堂々たる戦いぶりを見せる。特にタイとの 準決勝はカンボジア代表にとって今大会のハイライトと言える試合だった。90分をスコアレスで 迎え、30分の延長戦を戦っても決着がつかず、結局PK戦で敗北を喫っしてしまったが、カンボジ ア代表がタイ代表を相手に120分間得点を許さなかった事は近年無く国内外に大きな驚きをもたら した。そして、その驚きはベトナムとの3位決定戦でも続いた。カンボジアは86分に失点し0-1で 敗北を喫するが、カンボジアと比べると総合的に見てかなりの差があると言われていた強豪のタ イ、そしてベトナムに対して堂々と真っ向から勝負し敗れはしたが善戦する姿を見せつけた事は、 カンボジアのサッカーが新し時代の扉を開いた事を強く印象付けた。

育成年代の成長、育成と育成後が繋がった事の重要性

 今大会が将来につながる結果を残せた背景には何があったのか。最大の要因はサッカー協会が 注力してきた育成年代の成長にある。通常、若手選手の育成は地域の学校活動や、クラブチームの 下部組織での育成などが一般的であるが、カンボジアはそのどちらもまだ環境が整っているとは 言い難い。そこで、カンボジアサッカー協会は2014年にナショナルアカデミーという形で自らU14 世代の育成を開始した。所属選手がイコール育成年代のカンボジア代表となるこの組織は、JFAか ら派遣された日本人指導者、元カンボジア代表監督も務めた韓国人指導者など質の高い外国人指 導者の指導の下に毎年選手のセレクションを重ねながら年代を積み重ねてきた。その結果、U14 からU18世代までを一元的に育成する専門の組織が完成した。U14から、外国人監督の指導を受 けてきた事と、サッカー協会が積極的にアジアの国際大会への参加機会を創出した事は、選手と チームに、客観的に自分たちの立ち位置を見定め少しづつ他国との距離を縮める事を身につけさ せる事に繋がった。今回のU22代表チームに招集された選手の多くもナショナルアカデミーを卒 業後クラブチームと契約した選手達であり、強豪を相手にも物怖じせずに戦う姿はとても頼もしいものだった。カンボジア代表は2014年のW杯二次予選時に招集された選手達の多くがまだプレー を続けており、ここ数年はタレント不足で谷間の世代と言わざるを得ない状況が続いていた。し かし、サッカー協会の活動が着実に実を結び、育成と育成後が繋がった事はカンボジアのサッカー 全体に対してとても重要なことであり、その状況にも変化が現れるかもしれない。

サッカーが国の誇りになる日が近づいている期待感

 カンボジアは近年投資の増加に相待って様々な分野が急速に復興し、成長する段階へと入って いる。成長と相待って国民は徐々にカンボジアに誇りを取り戻し始めているかもしれない。しか し、客観的に見た場合スポーツの分野で他国と勝負し、結果を残していくことはその誇りを確固 たるものにするためには非常に重要である。U22とは言え、今まで惨敗を繰り返しまともに戦う ことさえ許されなかった国を相手に善戦する姿を示した事で、国民にとってサッカーがこの国の 誇りの一つとなる日がぐっと近づいたように感じた。

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