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相次ぐ新規参入で変わるリサイクル業界。

業界を取り巻く環境変化。

 プノンペンの街は、目まぐるしい勢いで変化を遂げておりその時々のトレンドが生まれては消えている。そんなプノンペンの街で、最近目に付くものと言えばリサイクルショップが挙げられる。特に日本から商品を仕入れている日本の企業の進出が目立っている。カンボジアへの日本からの中古品の輸入は1990年代から始まった。当時は重機などの工業製品がメインで、法の整備が不十分であったことなどから不法輸入に近い事も行われており、所謂グレーな業種というイメージが強かった。しかし、ここ数年の日本・カンボジア両国の業界を取り巻く背景が急激に変化したことで企業の進出が相次ぎ、今日の活況につながっている。具体的に日本では、従来は無かったインターネットを利用した新しい廃品の回収や二次利用の需要が上がったこと、それから、企業の倒産や遺品整理などこれまで手がつけられていなかった物や遺品に二次利用需要が出始めたことが挙げられる。カンボジアでは、特に都市部における急激な経済の発展に伴い市民の購買意欲が高まってきたこと、インターネットの普及でSNSを利用して高品質なリサイクル品を安価で簡単に購入できるシステムが普及し始めたことなどが挙げられる。このような両国の背景とカンボジアの新規の参入条件が簡単な事が相まって、今日の活況につながっている訳だ。そして同時に業界全体が大きく変化している真只中でもある。今後どのように業界が変化していくのかを慎重に見極めることが必要であり、特に比較的参入次期が早かった企業は早速事業形態を見直す必要があるように感じる。日本企業の本格的な事業参入は2007年のサンタの倉庫進出に遡る。その後幾つかの企業が参入したがそれぞれに共通する特徴といえば日本で売れなかった物、日本で価値の付かなかった物をカンボジアに持ってきて商品としていた点だ。実際にこれまでの日系のリサイクル店というと、日本や中国からの古着を店頭に山積みにして、売っているのか、廃棄しているのかよく分からない店や、中には年中ディスカウントセールを打っている店もあり需要と供給がマッチしているのか首を傾げたくなるような店も見られた。しかし、以前はそれでも少なからず利益が出ており日本のリサイクルショップとして一定の認知を得ていた。

変化する需要に対応する供給が必要。

 だが、変化は確実に起こっている。現状は以前とはまったく違うと新規参入業者は語る。「今の客は日本からの商品、特にメイドインジャパンの商品に強く興味を持ち、ピンポイントに買いに来ている。古着や雑貨などはタグを見ればメイドインチャイナやメイドインベトナムなど日本製以外の物が多い。それではカンボジア人の購買欲は動かないし売れない。カンボジア人が日本に抱くイメージを具現化し、かつ日本製の商品が売れ筋で、その商品需要を把握して的確に商品を仕入れられる業者と組み、常に情報共有をすることが必要だ」と語る。そこで、この業者ではリサイクル品イコール「中古」と言うイメージにとらわれず、需要のあるものであれば日本の仕入れ業者と協力し中古品以外でも柔軟に仕入れを行っている。またカンボジアのリサイクル市場に対しても「日本でいらないと思われている物は、カンボジアでも大体いらない物が多く売れない。日本で廃棄されるような安かろう悪かろうの商品を揃えていてはカンボジア人にとっても魅力は無い」と語りこれまでのやり方が通用しなくなってきていると考えている。

今後、現地化と細分化が進む。

 では、今後リサイクル業界はどのように変化を見せるだろうか。先ず考えなければならないのは、カンボジア人事業者が参入し市場規模が拡大するということだ。我々日本人が目についている変化にカンボジア人が気付かないはずはない。かつて日本でも外国人が外国からの古着の店を経営していた。しかし今では日本人が外国の古着店を経営することのほうが多くなっている。このような流れが起こるのは必然だろう。そうなった際、需要があるところに供給することは物の流れの常であり、日本の仕入業者が日本人経営リサイクルショップにのみ商品を卸すということは当然あり得ない。需要を的確につかみ、常に商品を動かす業者がカンボジア人で現れくれば当然そちらに魅力的な商品は流れていく。そうなった時に従来のやり方は益々通用しなくなってくる。そしてそうなっていった際に考えられるのが事業形態の細分化だろう。現状は倉庫然とした広々とした店舗を構える店が多いが、需要を的確に捉え商品が常に流れている店舗であればそのような大型店は必要なくなり、特定の商品を扱う小型店舗を複数店経営するほうが効率が良くなる。そうなると我々外国人にとっては益々需要の把握が難しくなり、差をつけられる可能性がある。2016年の11月には、日本で誰もが一度は聞いたことがあるようなリサイクルの大手企業がカンボジア市場に参入した。大手の参入に伴って今後も日本の中小企業の進出も続くことが考えられる。その動きに伴って更に市場が大きくなることは日本とカンボジア双方にとって望ましい。しかし、マーケットに合った商品を見極める確かなセンスと、幅広い商品レンジを持った業者をカンボジア人が求めていることは明確であり、業界が成熟すれば更にその傾向は強まるだろう。

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