//フン・セン首相 65歳の誕生日に自身初の内閣改造へ

フン・セン首相 65歳の誕生日に自身初の内閣改造へ

30年以上にわたってカンボジアの政治の中心であり続けるフン・セン首相。その首相が4月4日、65歳の誕生日を迎えた。65歳といえば、日本では多くの人が定年を迎える歳だ。勤め上げた会社を辞め、第二の人生をいかに過ごそうかと考え始めるところかもしれない。
しかし、この日フン・セン首相が向かったのは、国民議会の議場だった。この記念すべき日に、自身が定めた内閣改造の人事案の是非を問う投票を控えていたのだった。投票の結果、人事案は可決され、新内閣が組閣された。

 

30年以上に渡る長期政権を維持するフン・セン首相

フン・セン首相が実質のカンボジアの政権の座についたのは、1985年1月14日からだ。当時カンボジアはまだ内戦真只中であり、国名も現在のカンボジア王国ではなく、ヘン・サムリン現国民議会議長を国家元首とするカンプチア共和国で、役職名も首相ではなく閣僚評議会議長といった。この時フン・セン首相は34歳、若い青年政治家だった。それから30年以上の間にカンボジア国、国際連合カンボジア暫定統治機構(UNTAC)と2度にわたって国名を変更し、今のカンボジア王国
に至るが、その全ての時代においてフン・セン首相は権力の中心であり続けてきた。これまで、フン・セン首相の政治に関しては賛否両論が吹き荒れてきた。火のないところに煙は立たないのも事実であり、実際に首相がこれまで様々な形で権力を振りかざし、時に違法とも言える振る舞いをしてきたという証言は多い。

安定した経済成長を支えるリーダーシップとバランス感覚

しかし、このように否定的な声がある一方で、賛辞されているのもまた事実だ。内戦状態からの復興と、近年の7%を超える目覚ましい経済成長率は紛れもなくフン・セン首相と現政権の仕事によるものだ。そんなフン・セン首相を語る上で必ず挙げられる特徴は、強力なリーダーシップと、類まれなバランス感覚の持ち主だということだろう。この2点をフン・セン首相は次の世代へも継承したいと考えているようで、三男のフン・マニー国民議会議員は地元メディアのインタビューの中で、「父から政治家として、国の指導者として、国の利益のために交渉事に当たる際の大切な心得を教わった」と述べている。それは「機会を理解する事、機会を得る事、機会を使える事、機会を作る事」だという。つまり、交渉事の機会を得たらその交渉事の肝となる部分を十分に考え、理解し、主導権を常に握り続けて交渉を有利に進めろという事で、リー
ダーシップとバランス感覚の裏にはフン・セン首相なりの心得と入念な準備がある事が伺える。

更なる成長へ 内閣改造と選挙戦への布石

そんなフン・セン首相が、内閣改造に踏み切った。現政権ではこれまで、選挙後の組閣で任命された各大臣は次の選挙までの5年間、任期を全うするのが普通で、複数の閣僚が入れ替わるのは異例の出来事と言える。改造理由を「仕事の効率を上げるためだ」と説明した事からもわかるように、今回の内閣改造からは成果主義による引き上げと、成果不足を補うためのコテ入れが見て取れる。閣僚人事が行われた8つの省で特に注目すべきは、公共事業運輸省スン・チャントール大臣(元商業大臣)、農村開発省オック・ラボン大臣(元農林水産大臣)、農林水産省ベン・ソクヘン大臣(水資源気象省次官)の3閣僚だ。スン・チャントール大臣は商業大臣時代に大きな成果を残し、フン・セン首相からの信頼が厚い。今回の異動は公共事業分野の改革を期待されての事だろう。そして農村開発省・農林水産省は農業を国の礎と位置づけるフン・セン首相が特に
成果を求めている省ではあるが、大きな成果を残せていないのが現実だ。今回の人事で現状を回復し、成果を上げられる体質へ変化していく事が求められている。
ではなぜ、この時期に内閣改造なのか、日本の様に内閣支持率を横目で見つつ、じゃあこの辺で変えておくかと言うような判断ではないはずだ。考えられるのは、次回選挙へ向けて国民の信頼と支持を揺るぎないものにするという事だ。フン・セン首相は、2018年に行われる予定の次回国民議会議員選挙に向けて時間が少なくなっていく中で、各省が少しでも多くの成果を上げ、国民が現政権を引き続き必要としてくれるよう願っているに違いない。今後も安定した成長と政策実
現の為に新内閣がきちんと機能する事を期待したい。

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