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試行錯誤を繰り返した10年の歴史

タヤマビジネススクール 校長 ニャック チョムランさん

– この度タヤマビジネススクールが10周年を迎えるという事でおめでとうございます。

ありがとうございます。3月11日に10周年のパーティー開催予定で過去の卒業生も参加予定です。

– 10年間を振り返るといろいろな事があったと思いますが、どんな思い出がありますか?

 1期生の頃は本当に大変でした。教える側の日本人も教わる側のカンボジア人もお互い何も分かっておらず、どれくらいの厳しさなら付いてこれるのか、どこまでやるとやり過ぎなのか、生徒も先生もまったく分かっていませんでした。それで1期生は250名入学したんですが、厳しさに付いて行けずに辞めた者や、先生と喧嘩して辞めた者などで最終的に卒業時には47名しか残っていませんでした。
 それが今では卒業率も上がってきて、昨年を例に出すと230名入学し163名が卒業しました。それでもやはり全員卒業というのは難しいです。1年勉強したらいきなりもうすぐに仕事をしたいと辞めてしまう者もいれば、留学するのでと辞めてしまう者、ちゃんと就職が決まって辞める者もいますが、昔と比べ辞める理由がポジティブなものが増えてきているように思います。

– タヤマビジネススクールの特徴を教えてください。

 私たちは日本語だけではなく、日本の文化や挨拶、きちんと返事をするとか相手の目を見て話す、掃除、約束を守る、時間を守るなど日本人なら普通にやっている事ですから、その日本人と一緒に働くためにはこのような事も学ばなければなりません。

– 最近では日本語学校も増えていますが、タヤマビジネススクールの違いを教えてください。

 まず一番は気持ちの部分だと思います。ただ日本語だけを教えるのではなく、内面的な部分も教えています。そしてそれを他の日本語学校も真似て取り入れ始めましたが、僕はそれは良いことだと思っています。なぜならそれが良いことだから真似してるんですよね。悪いことであれば真似しませんから。
 実際他の学校の先生もタヤマの卒業生だったりするんですけどね。これら全てはカンボジアの発展のためですから。

– やはり日本が好きで日本語を勉強しようと思う生徒がほとんどなんでしょうか?

 そうですね。そしてこれは私個人の気持ちかもしれませんが、いろんな国がカンボジアに対して支援をしてくれていますが、何の思惑もなく本当に無償で支援している国は少ないのではないでしょうか。
 日本はその数少ない国の一つだと思っていますので、そんな日本を尊敬していますしみんな大好きです。生徒たちは実際に日本の会社で働いている先輩たちを見て、日本の会社で働けば良い給料もらえるんだと憧れている部分もあると思います。

– カンボジアにおいては日本はまだまだマイノリティな存在なので、日本語を勉強するよりも英語や中国語などの勉強した方が良いのではありませんか?

 昔は日本語以外にも英語も教えていたり、パソコンを教えていたりしていたんですが、2年間では結果的にどれも身に付かず全てが中途半端になってしまいましたので、今は日本語に絞り込んで教えています。とはいえ、タヤマビジネススクールでは勉強の仕方や楽しさも教えていますので、それさえ分かってしまえば次に中国語を勉強するにしても英語を勉強をするにしても身に付きやすくなると思います。

– 今後の目標を教えてください。

 生徒数1000人2000人規模の大きな学校にしていきたいですね。そして、今までは国内の仕事が主な就職先だったんですが、これからは海外の主に日本へ技能実習を含めた留学など活躍の舞台を世界に広げていきたいですね。そして、実際にはまだまだ勉強したくても出来ない人や働きたくても働けない人がたくさんいて、もっともっと生徒を増やしていきたいんですが、現状の230名で教室は満杯になってしまっているので、いつかタヤマビジネススクールを大きくしてプノンペン以外の都市にも広げていきたいですね。

– 最後に日本や日本人に何か希望する事や期待する事はありますか?

 特に怒った時なんですが、公共の場や人がたくさんいるところで大声で叱らないでほしいですね。カンボジア人は人前で大きな声で叱られると嫌な気持ちになったり恥ずかしいと思ってしまって直そうとはしなくなってしまいます。他にも食事の席で叱ったりするのも止めた方がいいですね。食事を美味しく食べてから、後で呼び出すなりすれば良いのですが、TPOを気にせずいつでもどこでも叱るのは良くないと思います。こういったカンボジア人の気持ちを分かった方が日本人にとってもやりやすくなるし、お互いにとって良いと思います。
 そしてもう一つ思うのが、カンボジアに進出してきたものの上手くいかずに撤退する方々も多いと思いますが、そういう方たちの多くはカンボジア人の話を聞かない方が多いように思います。確かに日本人は技術力もあり頭も良いと思いますし、日本でそれなりに成功してきてるのかもしれませんが、でも日本とカンボジアは違うんです。成功したのはカンボジアではないんです。日本では人もインフラも何もかも整っていますが、カンボジアにはそれらがまだ整っていないんです。まずそういった事を理解し、カンボジア人と協力し合わないと日本の考え方や価値観をそのまま持ってきても上手くいかないと思います。

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