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プノンペンの“駅前旅館”

東横INNプノンペン 副支配人 山本 美紀さん

– 昨年6 月にオープンした東横INN プノン ペン。在留邦人からはバスタブがあって日本仕様という点が注目されましたが、まずはホテルのコンセプトからお聞かせください。

当ホテル全体のコンセプトは、「駅前旅館の鉄筋版」です。プノンペンは駅がないですが、日本では駅のすぐ近くで旅館のように温かみのある雰囲気とサービスをお客様に提供しています。女性の感性を重視して、支配人も女性です。モットーは、「清潔感・安心感・ 値頃感」。お客様の大切な衣食住の時間をお預かりしますので、我が家に帰ったような安心 感やくつろげる空間を大切にします。そのため、「いらっしゃいませ」ではなく必ず「お帰りなさいませ」とお客様をお迎えします。国が違っても、日本仕様にする事で安心感を持っていただければと思います。現在、日本全国と海外に255 のホテルがあり、全店舗同品質のサービス提供に努めています。

– 海外、特にここプノンペンでは日本と環 境が大きく違うと思いますが、着任後いかが ですか。

できるだけ同じにしたいのですが、ま ずホテルの造りも異なります。日本のフロン トの床は絨毯ですが、ここではフローリング。 砂や埃が多いので清掃をまめにしないといけ ません。従業員の感覚も日本とは違います。 着任前にフロント教育で来た時は、ストッキ ングとパンプスを履く事から指導する必要が ありました。日本だと少しの汚れも指摘しま すが、ここで働く従業員達はそれを汚れてい るとは思わない、その意識の乖離をどうする かが難しいです。レセプションのスタッフ達 も最初は計算機の使い方やパーセンテージの 計算がわからず、教育面の問題もありました。

– それでも現在はきちんとお仕事をされて いるという事は、日本語学校設立やボランティ アに限らずここに日系企業が進出して人材を 雇用する事で、カンボジアの若者を育てる役 割を果たしていると言えますね。

彼女達は学校に通いながら仕事をした り、自分で日本語学校に通ったりと本当に熱 心です。最近は、お客様からのクレームにもすぐには私を頼らず、自分達で対応するために考えるようになりました。愛想も良く、彼女達が笑っていると私も救われます。育てるというより一緒に育っていきたいと思います。

– では、今後のホテルの展望をお聞かせく ださい。

まずは、東横INN の存在をもっと知っ ていただく事です。数年後は、周辺により多 くのホテルが建つでしょう。しかし当ホテル は、23 階建ての良い眺めや貸し出し可能な会 議室( 全3室) 等、施設を活かしながらリーズ ナブルに泊まれる宿泊特化型ホテルとしてア ピールできればと考えています。

– 有名ホテル故に、日本と全く同じサービ スを希望するお客様も多いと思います。要望 を言うときりがないですが、それだけ期待値 も高いと言えます。お客様のニーズに合わせ て、独自に変化していく可能性はありますか。

やはり大企業としての制限があって難 しいですが、少しずつ形になるよう日々奮闘しています。宿泊された方がリピーターになっていただけるようなホテルを目指し、スタッフと共に取り組みたいと思います。

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