//日本の生け花をカンボジアで活かす

日本の生け花をカンボジアで活かす

Bophakiri Flower and Gift Shop リム・トンティダさん

– 日本で長年生活されていたそうですが、訪日のきっかけは何ですか。

当時日本のカンボジア大使館の大使だった伯父が、国の状況を考えて「日本で勉強して国に帰る方が良い」と勧めたからです。18 歳の時に日本の大使館で働き始めましたが、言葉も食べ物も何もかも違うので大変でした。

– その後、なぜ生け花を学ぼうと思ったのですか。

大使館にはよく外部の方が花束を持って来られましたが、私は飾り方を知らないのでいつもきれいにできませんでした。任期が終わった時に生け花を勉強してみようと思い、教室に通い始めました。5 年ほど習い、展示会にも出品しました。メイクも勉強し、結婚式場での衣装係だった時は着付けも覚えました。ケーキ屋でも2 年間働き、勤務後や休日に勉強しに行く日々でした。

– カンボジア帰国後、どのようにビジネスを始めましたか。

初めはケーキ屋のつもりでしたが、その頃のカンボジアでは必要な道具が買えず、やめました。日本から一緒に帰った友達が「メイクやお花が好きなんだから、それの方が良いよ」と言ったのをきっかけに気持ちが変わり始め、カンボジア初の本格フラワーショップBophakiri を開業しました。最初は生花の販売より、結婚式やパーティの飾り付けが多かったです。新郎新婦と一緒にデザインしたりケーキを取り入れたり、日本で学んで生まれたアイデアをお客様に伝えていきました。2 年ほど前からFacebook で宣伝を始め、店の連絡先を記載した花束の写真を毎日掲載すると集客効果がありました。

– 経営面で最も苦労する事は何ですか。

新しいスタッフに仕事を教えるのが大変なのに、すぐ辞めてしまう事です。いつも、なぜカンボジア人は日本人のようにがんばらないのだろうと思っています。

– プノンペンの生活水準の変化はいつ頃から感じられましたか。

2 年ほど前です。サロンや日系料理店も増えたし、あちこちでオープニングセレモニーやバースデーパーティが開かれるようになりました。結婚式のスタイルも、昔とは変わりました。

– 今は生花店も増えましたが、先駆者として現状をどう捉えていますか。

同業者は皆教え子で、自分の店を持つために地方から勉強しに来ます。私はいつも生徒に自分の気持ちを全部伝えますが、生け花は人によって出来上がりが全く異なります。同じ方法で店を開いても良いし、新しいアイデアを取り入れて作ればどんどん良くなるでしょう。

– 今後の展望をお聞かせください。

メインだった結婚式場の仕事は深夜までかかるし、資材やスタッフもたくさん必要なので少し控えるつもりです。最近は、お祝いの花束やバスケットの注文が多いです。今後は結婚式の衣装デザインやオンラインギフト販売等に力を入れて、方向性を変えようと思っています。新しく生花専門店を開く事も検討中です。

– 自分で何かビジネスをしたい方々にアドバイスをお願いします。

自分のしたい事があれば、ぜひ始めてください。困難があっても続けるのが一番大切で、すぐ違うものに移るとずっとうまくいきません。私も、初めはお客様が来ないのに給与と家賃を払うのが大変でしたが、一生懸命取り組めば後から良くなると信じました。花束を見て喜ぶ顔や、自身の結婚式に満足したお客様の言葉が力をくれます。今ではBophakiri の名を多くの方が知っていて、ずっとがんばってきて良かったと思います。働いている人も自分のビジネスがある人も、皆さんのしたい事を一生懸命がんばって続けてください。