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国民がスポーツを楽しむ 時代を作る

教育・青少年・スポーツ省
Deputy Director General of Sport
メル・カドさん

– カンボジアではここ数年、 スポーツを楽しむ姿が多く見られるようになってきました。内戦の前後で、国内のスポーツ文化はどのような変遷を辿ったのでしょうか。

1960年代のカンボジアには、日本からJICAボランティアをはじめ様々な指導者が派遣されていまし た。1966年にはオリンピックスタジアムが完成し、クメールボクシング・女子バレーボール・サッカー・水泳等の競技が盛んでした。1970年初めまでは国民がスポーツに親しむ文化がありましたが、ポル・ポト政権時代にそれらは一切排除されました。物語のようですがこれは事実なのです。内戦終了から復興に向かう際、国民達は熱意を持って自らスポーツのための場所を作り、ユニフォームを準備しました。内戦前からスポーツに親しんでいたフン・セン首相も、バレーボールやサッカーをプレーしてスポーツ再興をリードする姿勢を見せました。大きな発展を遂げ始めたのは1998年頃からです。 まず平和があり、経済の発展を経てスポーツなど文化の発展があるのです。

– スポーツ省として、スポーツ推進のためにどのような政策をとっていますか。

スポーツ局では、スポーツ研修のためのプログラムを組んでいます。対象は大きく分けて、国民・学生・アスリート・指導者の4つです。また、アスリートを応援し、モチベーションを向上させるため、 国際的な大会での成績に応じた報酬や更なる活躍の場を用意しています。定期的に各種レクチャーを開催し、積極的な参加者や指導者には手当を厚くしています。
国民に人気があるのはサッカー・ボクシング・バレーボールなどですが、政府が特に支援しているのはテコンドー・空手・柔道です。団体競技は優れた選手を集めてチームとして成長するのが難しいですが、個人技なら個人のレベルで世界に挑戦する事ができるからです。スポーツ留学制度では、サッ カーでの実績が一番多いです。

– 先ほどもおっしゃっていましたが、カンボジアのスポーツ普及とレベル向上には日本も尽力していますね。

日本は今までに、水泳・空手・サッカー等の分野で多くの指導者を派遣してくださいました。それだ けでなく指導者の教育、チームや組織のマネジメントの指導やコンサルティング、JICAによる体育科の教科書作成と普及、体育教育の促進と、多岐にわたるご支援に感謝しています。昨年サッカー日本代表がカンボジア代表と対戦した際には、格上の選手と対戦する良い経験となりました。今後も、カンボジアの子ども達に体育教育をより普及させるために日本からご支援いただけますと幸いです。

– 2023年には、カンボジアでSEA GAMES(東南アジア競技大会)が開催されます。どのような準備が進められていますか。

水泳・サッカー・バレーボールの競技場を新設しています。昨年、コンポンチャムに水泳競技施設が完成し、祝典が開催されました。現在はチュロイチョンワー橋の近くに新しいスタジアムを建設しています。もちろん良い成績を残すためにアスリートの強化も必要ですし、計画に沿ってオフィススタッフの教育や団体運営の方法も構築していきます。

– 芸術やスポーツは、ともすれば社会から「なくてもいいもの」として扱われてしまいますが、一度途絶えた時代を経てより多くの人にスポーツ文化を普及させたいと思うのはなぜですか。

それは、人々が健康的に暮らし、仲間と集まって親睦を深める手段となるからです。勝利の喜びは、 何にも代えられない尊いものです。スポーツは常に公平で、真摯に取り組めば必ず結果が出ます。そのような精神で、国民の皆様にはスポーツを通して生活を楽しんでほしいと願っています。

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