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「未来を創る」を目標に

OS School 日本語教師 三浦 文貴さん

– まずこのOSスクールについて教えてください。

 今年の3月にできた新しい学校で、カンボジア教育省、NGO団体のPay it Forward、そして私たちOS Cambodiaが三位一体となって始まったカンボジア初となる独立支援型職業訓練校です。そのため教育省の協力でバンケンコンハイスクールの使われていなかった校舎の一角を無償で使わせて頂いています。

– 設立の趣旨は何でしょうか?

 カンボジアの抱える教育面における問題は皆さんご存知だと思います。経済成長が加速する中、基盤となる教育水準が上がらなければ貧富の差はますます拡大していきます。この問題をカンボジア人だけで解決するには、どうしても時間がかかってしまいます。そこで私たちと教育省が力を合わせて質の高い教育を提供する事でカンボジア人が成長し、カンボジア人だけでも社会を発展させていけるような人を育てようという趣旨で学校を作りました。ですので、私たちの学校の校訓として、「未来を創る」を目標に掲げ、「感じる事」「考える事」「挑戦する事」「楽しむ事」「出逢いに感謝する事」これら一つ一つ大切にし繰り返す事で未来を創れると生徒たちに教えています。

– 日本語以外に道徳も教えているそうですが、具体的にどのような事を教えているのでしょうか?

 例えば、この学校が始まった当初はゴミが散乱して汚なかったんです。誰も掃除せず、むしろポイ捨てをするような状況でした。まずはカンボジア人教員に対して掃除をする意味や目的を説明し、それを理解してもらった後、生徒たちに指導していきました。そして「学校を綺麗に」という看板を立てて、掃除を徹底しました。そのおかけで今では大分綺麗になりましたし、バンケンコンハイスクールの先生たちも掃除の重要性に気付いて、自分たちでも看板を立て掃除をするようになり学校全体が綺麗になりました。

– 日本語学校は他にも沢山ありますが、OSスクールの強みを教えてください。

 一番は先程も申し上げましたが、教育省のバックアップがあるという点です。校舎を無償でご提供頂いている分、無償コースでも充実した授業ができます。ただ日本語が話せるだけでは就職しても絶対に長続きしません。なのでなぜ日本人は時間を守るのか、なぜ挨拶を大切にするのか、理由をできるだけ時間をかけて教え、生徒自身が気付けるような授業を心掛けています。
 そうする事でカンボジア人が苦手な相手目線に立った言動やおもてなしの精神が身に付くようになります。そして何といってもOSスクールの運営母体となるOS Cambodiaは人材紹介会社ですし、様々な国で教育に携わったノウハウがあるので、卒業後の働き口と、今現場ではどのような人材が求められているのかを授業に反映させる事でより即戦力となる他社に無い人材育成ができると考えています。
 また、日頃から評価表というのを生徒自身と教員と双方で付け、それをすり合わせる作業を行っており、その評価表は日本で言うところの内申書のような物ですので、企業様が卒業生を面接する際の把握にお役立ていただけると思いますし、生徒たちの飛躍にも繋がると思います。
 さらに教育受託も行なっており、企業様からのご要望に合わせた授業プランを提案し、企業様に赴く形で授業をしております。当初は遅刻や急な欠勤の多かったスタッフも、仕事への考え方が変わり出勤率が良くなるという結果にも繋がりました。そしてその教育の中に日本語を導入する事で、まったく日本語のできなかったスタッフが、教育終了後、ひらがな・カタカナの読み書きに加え、基本的な日本語の挨拶、そして、日本人が考えている基本的な仕事の姿勢が身に着いたと、企業様から嬉しいお声も頂いております。日本では普通な事なんですけどね。

– それは確かに魅力的ですが、応募すれば無償コースは誰でも入学できるのでしょうか?

 入学する為には試験と面接があります。試験はクメール語での一般常識で、面接はどれだけやる気があるのかを見ます。そして私たちが重要視しているのは、やる気の面です。ですので、例え試験の結果が悪くても面接で日本語を学びたいという熱意を感じる事が出来れば合格としています。

– 運営母体のOS Cambodiaは民間企業ですので収益性を考えれば新入生は初めから優秀な子やお金持
ちの子に偏ってしまい、本当に教育が必要な子に行き届かないという事になりませんか?

 当然会社にとって業績は大事ですし、紹介を受ける企業様にとっても優秀な子を紹介してもらった方が良いと思いますが、それだけを考えるのであれば有償コースのみで良いと思います。でもそれでは設立の趣旨に反します。ですのでそうならない為に教育省のバックアップを活かして無償コースも設けています。高校卒業試験に落ちた子やお金がなくて大学に行けない子、カンボジアにも日本と同じようにいじめは存在しますので、いじめが原因で学校になじめず、その後行き場を無くした子もいます。そういった様々な問題を抱えた子たちにもチャンスを掴む事ができるんだと。そういう学校でありたいと思っています。だからこそ、成績よりもやる気を重視しているんです。

– 最後に今後の目標を教えてください。

 たくさんありますが、まずは今いる生徒たちが成長して自分たちが目指した夢や目標を叶えてほしいです。生徒の中にはこの学校の先生になりたいと言ってくれている生徒もいますので、この学校で勉強した子が先生として帰ってきてくれるのは嬉しいですね。そしてこの学校の名前がもっと知れ渡ってくれれば、より多くのカンボジア人にチャンスを与えられると思いますので、質を上げつつ知名度も上げていきたいですね。

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