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日々の振る舞い

 皆様もご存知の通り先月シェムリアップで日本人がカンボジア人タクシー運転手を殺害するという凄惨な事件が起きた。事故が報じられて数日後にシェムリアップへ行く機会があり、行く前は正直なところ行きづらいなと感じていた。シェムリアップでは私が日本人と分かるとやはりそのことが話題に挙がった。私が話した人々の多くが、一度の事件でODAを始め様々な支援を受けてきた日本に対しての友好的な印象はこれまで通り変わらないと話してくれたが、私が逆の立場でも事件とは無関係の日本人を目の前にして「日本人は恐ろしい人種だ」などとは言わないだろうと思い、彼らの言葉を素直に受け止めることはできなかった。実際に私が出会っていないだけで、今回の事件をきっかけに日本人に対する印象が変わったという人々は多くいるだろう。
 一歩自分の国を出れば、自分の振る舞いがその国を代表しその国に対しての評価となるということ、カンボジアに住み始めたころは意識できていたにもかかわらず、近頃の自分はどうだったのか振り返ってみると、恥ずかしい振る舞いをしていたのではないかと思うこともある。それでは一体どのような振る舞いが模範となるのか、それは非常に難しい命題である。
 カンボジアに住む我々日本人の大半はカンボジアに仕事をしに来ている。他社との競争に勝ち、成果を上げるためにカンボジアにいる。ビジネスである以上、価値を生み出すためには常にお人好しであるわけにはいかない。時には成果を求めるためにストレスを与えることも必要となるだろう。Easy goingでゆとりのある振る舞いをするのか、または周りに厳しく接するもそれ以上に自分自身に対しストイックであるのか、そのバランスは非常に難しいものである。正解を導くには我々一人一人が考えて実践していかなければならない。
 日本では5月1日から令和元年が始まる。新しい時代の始まりを前に、当たり前と思っていることを含め自分自身を見つめ直す、クメール正月はそんな時間にしようと思う。

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