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働く姿勢を通して伝える「誠実さ」

 今回、ユニークな出会いで知り合った日本企業の会長と、カンボジア政府関係者を日本に招待する視察旅行に同行する機会をいただいた。普通では体験できない時間を過ごす事ができた。
 視察の詳細は内面(2ページ)に記すのでご覧いただきたい。日程の軸には彼らも十分に満足したようだ。しかしそれ以上に、企業側は日本の文化や習慣、まちづくりを紹介し、日本人が感情豊かできめ細かい仕事ができる理由を知ってもらう事に大きな時間を割いた。日本への理解を深めようと趣を持つ姿に、私は「これこそが日本人だ」と感心し、カンボジアの彼らもその部分に感銘を受けていた。初めこそなぜこのようなところに案内されるのかと首を傾げていたが、日本人でも滅多に立ち入れない皇居に伺い、ゴミ一つない壮大な皇居内を見て、そこに携わる方々のプライド、また敬う気持ちを感じ取っていた。さらに行政の長にお会いして考えやまちづくりの話を聞く事で、少しでも学び取れるものはないかと質問を浴びせるほど、熱心にミーティングをした。
 帰り際の彼らに、何を得られたかと尋ねたら、正直な本音が聞けた。
 「目で見て話を聞いて、素晴らしさは十分わかった。しかし、なぜここまで我々に何日も時間を割いてくれるのか? 日程のタイトさはわかっていたが、少しの時間をも惜しむように、茨城県から広島県までの約1,000キロメートルを夜通しで社員の方が運転してまで工場視察をさせてもらい、その足で広島から新幹線に乗って午後には次のアポイントに間に合うよう移動をするというように、会社全体が我々のために睡眠を削ってまで動いてくれる。我々なら『時間がない』の一言で終わらせるのに、誰もが『どうですか? たくさん視ていただけましたか?』と終始気を遣ってくれる。どうして、ここまでしてくれるのに誰も威張らないのか? とても不思議だ」。
 今回招いてくださった企業の会長が知ってもらいたかったのは、仕事をする上で相手との信頼や誠実さ、またお互いを理解する上で同じ目標を達成する事の大事さ。これらを、おぼろげながらも感じ取ってくれたと私は理解した。実際、夜にカンボジアの方々とミーティングをした際は、ゴミリサイクルだけではなく日本人のハートがよくわかったと、私に力説してきた。
 中々このような機会を作る事はできないと思うが、カンボジアの明るい未来の一翼を彼らが担うと確信した。それは、食事の間で一つ感想や提案が出る度に、乾杯!と笑顔でお茶を酌み交わす彼らを見ていた時から十分伝わり、同時に国を越えての友情さえ感じるものだった。

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