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中国人の商人気質

 昨年末からカンボジア国内ニュースで頻繁に目にする、当誌でも今月号で取り上げ14ページ目に記事として掲載したVoIP詐欺。詳しくは記事を読んでいただきたいのだが、簡単に説明すればIP電話を使用したフィッシング詐欺である。
 詐欺事件もあまり珍しくなければ、フィッシング詐欺という手法も真新しいものではない。しかしニュース記事を読むたびに毎度驚かされることがいくつかある。1つはVoIP詐欺事件のほとんどがカンボジアに住む中国人によって中国本土に住む中国人をターゲットにして行なわれている点。そして逮捕されている詐欺グループの規模の大きさ。一度に数百人単位の中国人が逮捕され国外追放されている。海外で、ここまでの規模で彼らにとって同胞である中国人から金を騙し取ろうとしていることに恐ろしさを感じる。そしてここまで大掛かりなことを仕掛けた彼らが、真っ当なビジネスにその力を注いでいたならと考えると、また別な意味での恐ろしさも感じる。詐欺師達と真っ当なビジネスを行なっている人々を同列に語るべきではないのだが、中国人の大胆なことを仕掛ける能力や決断力とそれを行動に移す早さは多くの日系企業も手を焼いている通りだろうし、VoIP詐欺事件が報じられるたびにそれらをふと感じてしまう。
 中華系企業の決断力とそれを行動に移す早さ、それを可能にしているのは彼らの潤沢な資金であるかもしれないが、それだけではないだろう。むしろそれは彼らが持って産まれたものなのではないかと思う。資金の大小に関わらず彼らが商売に対して他国の人々よりも強い気概を持っていることを示す1つのエピソードとしてプノンペン市内に多くある中国料理店がある。
 プノンペン市内の至るところにある中国料理店だが、中国系カンボジア人によって経営されている店もあれば、中には中国国内でお金を借り、それを元手に家族全員でカンボジアに移住してきた人々によって経営されている店もあるそうだ。日本から単身カンボジアに移住し、一からビジネスを始めるという話は聞くが、借金をし、家族全員を連れて移住してまで、成功するとも限らないビジネスを始めたという話はほとんど耳にした事がない。日本人との比較だけでなく、中国人ほど商売に対して強い気概を持った民族が世界中に一体どれだけいるだろうか。中国人の商人気質は身近な様々な場所にあらわれているかもしれない。

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