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カンボジア ゆく年くる年

 まず初めに、何はともあれ新年あけましてあめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。年末年始どのように過ごされたでしょうか。どのように過ごされましても、新しい年を迎えて、皆様にとって本年が素晴らしい実りある一年になりますことを願っております。また、本年もスペースをいただける限り、拙筆ではございますが筆を執る所存でございます。何卒お付き合いの程をよろしくお願いもうし上げます。

 さて、新年の挨拶はこれくらいにさせて頂くとして、少し年末の出来事を振り返りたい。日本人にも馴染み深いサッカーの話題から。ACミランの本田圭佑選手のカンボジア訪問。12月の24日から26日までの3日間弾丸スケジュールでカンボジアを訪れた本田選手は、サムダッチ・フン・セン首相と会談。プノンペンで子どもたちを対象にフットボールクリニックを開催、滞在を締めくくる形で行われた記者会見で、シャムリアップを拠点とするフットボールチームの経営に参画する事を発表。チーム名をソルティーロ・アンコールFCとした。本田選手は既に主にプノンペンでのフットボール教室事業を行なっており、今後もフットボールを軸としながらの事業展開を視野に入れているものと思われる。本田選手はクラブ運営に当たって、「夢」と言うキーワードを幾度と無く口にした。夢を持つことはすべての事柄において原動力になる。本田選手自身も夢を形に変えて今の地位を築いている。彼自身がこれまで、夢を実際に叶えてきたプロセスをここカンボジアの地でどのように伝えていくのか今後が楽しみだ。
 また、今回の滞在で本田圭佑と言うブランドも広くカンボジア国内に伝わったはずだ。会談でサムダッチ・フン・セン首相は本田選手に対して、青少年の良き見本となるよう働きかけて欲しいと依頼、実際にイベントを締めくくる際に本田選手は「麻薬に手を出さない・交通ルールを守る」等の政府の掲げるスローガンを参加した子どもたちに言い聞かせた。

 そしてもう一つの年末の大きな出来事。それは12月30日のシハモニ国王陛下とモニニヤット王太后陛下の列車を使ったシハヌークビル訪問だ。早朝厳戒体制の取られたプノンペン駅ではサムダッチ・フン・セン首相夫妻以下政府閣僚、スン・チャントール公共事業大臣、そして鉄道会社を運営するロイヤルグループのクット・メイン会長、鉄道会社の職員が両陛下を出迎えた。両陛下は綺麗に磨き上げられた列車を見て満面の笑みを浮かべた。列車がゆっくりと動き始めると、車窓からは両陛下の御姿をひと目見ようと肖像画を掲げて集まった大勢の人々の姿。また途中駅のタケオそしてカンポットでも熱烈な歓迎を受けた。両陛下は終始満面の笑みを絶やされること無く、集まった人々と少しでも多くのふれあいの時間を持とうとされていた。
 政府は昨年から列車の再整備計画を官民両面から熱心に進めており、今後地方そして隣国への貨客輸送の要に据えている。今回両陛下が列車を利用しシハヌークビルを訪れたことは政府に取ってまたとないプロモーションになったことは間違いなく、列車の再整備計画の流れは今後更に加速すると思われる。

 このように年末、日本人にとってもカンボジア人にとっても大きな出来事があったわけだが、全く共通点が無いのかというとそうでもない。この2つの出来事を「地方」と言う言葉でつなぐことが出来る。本田圭佑選手が新たな事業後に選んだのは地方都市シェムリアップ。そして列車が繋ぐのも地方都市そして隣国だ。どのような経緯で本田選手がシェムリアップに本拠地を構えることになったのか詳細は明らかではないが、国際観光都市を展望するシェムリアップに本田圭佑という所謂「ブランド」が事業を行うことは街全体のイメージアップに繋がることは想像に容易い。また、サッカー協会としても本拠地がプノンペンへ集中している現状から徐々に地方へサッカー熱を波及させたいと考えた場合に彼を使うことはまたとないチャンスと言える。
 列車においても同様だ。カンボジアは今年地方選挙を控えており、現政権の地方へのコテ入れは最優先事項と言える。現にサムダッチ・フン・セン首相は昨年幾度と無く地方への訪問を行なっており、現在のプノンペン一極集中型で発展を遂げてきたカンボジアから地方の底上げへとシフトしていくのではないかと考えられる。そして、その先には2018年に迫った次期総選挙も当然視野に入れているだろう。
 
 カンボジア人の間ではもう既に中国正月の話題が出始め、その後すぐにカンボジアの正月がやってくる。一年はあっという間に過ぎていく。次から次に新しいトレンドが生まれては廃れていく。そんな中では有るが、今年は一つ「地方」と言うキーワードに注目したい。

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