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「褒めて育つ」「叱って育つ」 教育と共育について

 カンボジアも豊かになってきて、超高級車が走り、億を超えるような高級住宅が並んでいる。しかし、普通の生活を送りバイクで通勤するカンボジア人スタッフと仕事をした体験を今月は紹介したい。
 弊紙に関わるカンボジア人スタッフは5名いるが、創刊時から在籍する2名はうるさい社長の怒鳴り声にも慣れ、彼の怒りが過ぎ去るのを待つ余裕も、叱る意味への理解も持つようになってきた。あとの3人は、叱られると怖いという気持ちがまだ強く、何も考えられなくなってしまう。しかしその後は、全員が普段通りに戻っている。言い換えれば、すぐに忘れてしまうという事でもあり、そのために何度も同じ間違いをしてしまう悪循環だ。
 営業のスタッフ達は、少し話を聞いただけで走り出してしまう。営業報告も、こちらが催促しないと報告しないままだ。スケジュール表があるにも関わらず予定が重なるのは当たり前、2ヶ所の距離を考えると移動に30分かかるのに、時間を10分しかずらさない。アポイントは比較的取れるが、事前に調べないで飛び出してしまう。日本人からすれば歯痒く、筋道を立てずに営業をしてしまう姿に、何度も教える忍耐力と根気を考えさせられている。
 営業の様子を見ると多いのが「上司が不在だから返事はメールで」というパターンだ。誰に会えるのか、返事はいつもらえるのか、次のアポイントはいつ取れるか…等、クリアしていくのがよほど難しいのか、途中で終わる事が多い。街中で、信号待ちの時によくチラシを配っているが、見ているとほぼ全員が受け取っている。チラシに興味があるのかと思ったが、聞いてみると「受け取ってあげないとかわいそうだから」という答えが返ってきた。もしかしたら上記のようなアポイントの流れも、断るのがかわいそうだからという理由があるのではないかと思う。
 と、ここまで事情や環境の違う中での難しさや歯痒さを述べたが、からまった糸を少しずつ直すように丁寧に、やるべき事の意味や目的、必要性も同時に教え始めている。スタッフと付き合う方法としては、1日毎に完結できる仕事を与える事。フォローアップを徹底し、経過と結果を簡潔にすれば成果が見やすくなる。相手に合わせた言葉を選んで指示を出していけば、理解力も向上するだろう。最近ではスタッフ達が自主的に朝のミーティングを行い、一度断られた相手先にも再アポイントを取るためにトライしている。身体を動かす前に頭で考えてから行動するようになった姿を見ると、自分自身のやりがいもスタッフ達の笑顔も増えたと思う。

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